流れのままに療育センターにやってきた私たち親子。しかし、初日なのでなにも反応せず、手ごたえはつかめないまま。さらに周りの子が自閉症特有の反応をしはじめ戸惑うばかり。
やることは常にわかりやすく
10人ちょっとほどしかいないのに、出席を取るのも一苦労。呼ばれて返事をして前に出ていき、自分の写真をホワイトボードに貼って、タンバリンを叩く。たったそれだけなのに、スムーズにできる子はいません。まず、名前がわからない。集団の中で自分に話しかけられているとわからない。集中して話を聞くのが苦手。これらが発達支援センターにくる子たちの特徴です。
次に、今日やることの説明です。今日はどんなことをやるか、先生が詳しく説明してくれます。その予定は常に写真でわかりやすく順番にホワイトボードに貼られていて、終わるとその都度はがされます。これは、発達障害の子どもたちは「視覚優位」という、目でものを覚えるのが得意な反面、聞いて覚えることは非常に苦手な子が多く、また、先の予定がわからないと不安になってしまうからです。まあ初日にそんなことは知るよしもありませんでしたが。
殺風景な部屋
教室は非常にシンプルで、壁に名前と写真は貼ってあるものの、普通の幼稚園保育園にあるようなかわいい子どもが喜びそうな装飾はありません。おもちゃの入っている棚はカーテンで目隠ししてあり、外の景色も空しか見えないようになっています。
これは、前述した「視覚優位」の子どもたちが多いため、気が散らないようにするためです。普通の子なら、目の前のことに集中できるのですが、視覚優位の子どもたちは目からはいってくるすべての情報を同等にとらえてしまいます。そのために、あちらこちらに気が散ってしまい、今やるべきことに集中できなくなってしまうからです。
普通の感覚だと、少し殺風景で物悲しいように感じました。でもこれがこの子たちにとって過ごしやすい環境なのです。
さまざまな療育プログラム
プログラムは、子どもたちが飽きないように短く設定されています。最高でも15分くらい。動物のシルエットクイズなどが出されます。そこで「手を挙げて差されたら答える」などの訓練をします。しかし、やっぱり次々に大声で答えてしまい、なかなか順番を守ることはできない子が多いです。ですが、シルエットがほんの数ミリ見えただけで「ライオン!」とわかってしまうような、驚異的な視覚能力を持った子も存在します。
また、手遊びも重要です。手遊びは不器用なことが多い発達障害児には難関です。それに、相手の動きを真似して同じ動きをするということも苦手のようです。長男は、相手の真似をするという意味すら分かっておらず、ボーっと椅子に座っている(ときどき脱走する)だけです。誰も聞いてないし誰もやってないのに笑顔で手遊びしてくれる先生は本当に偉い!
あとは、親子で体を使って遊ぶプログラムもあります。歌に合わせて子どもをマッサージしたりいっしょに体を動かしたりします。これも長男はなされるがままという感じで、ちっとも一緒に楽しもうといういわゆる子どもらしさは感じられませんでした。
その後、30分くらいの自由時間があります。その自由時間にも工夫がされています。教室には大きなタイマーがあり、残り時間が赤く表示され、だんだん減っていくようになっています。もちろんけたたましいタイマー音はありません。聴覚が過敏な子が多いからです。ちなみに避難訓練も非常ベルでパニックを起こしてしまう子がいるので無音で行われるほどです。その自由時間で先生たちに困りごとを相談することもできます。もう年度も三分の二を終わっているのでママさんたちはもうだいぶグループになっていて、コミュ障な私は混ざることはできず、ボッチで長男と遊んでいました。
本当はここからお弁当タイムなのですが、下の子が五か月とまだ小さいということで、しばらくは午前中のみで終わることにしましたのでここで帰宅です。
こうして、なんの手ごたえもなく、何かを感じることもなく淡々と初日が終わっていったのでした。早く家に帰って、出かけるときの修羅場を片付けなければ…(ためいき)
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