諸事情により、お勉強系私立保育園にて集団生活デビューをすることになってしまった長男（このとき二歳半）。担任の方もベテランで理解がありそう。産前産後合わせて4か月だけだけど、ここでいい体験ができたらいいなあ。のんきに構えていた私に、厳しい世間の現実が襲い掛かりました。
やはり無理があったか？
最初の面談で、長男が二歳半でもまだしゃべれず、言語訓練に行っていることを伝えました。担任のベテンの女性の先生は「長男くんの発語をうながすように頑張ってみます」と明るくおっしゃりました。しかし、長男の制御できなさは、保育士さんたちの想像をはるかに超えていたのです。
普通の公立保育園には「加配保育士」といって落ち着きがなかったり不安定だったり障害があったりする子たちのために補助してくれる先生がついてくれます。ところがここは私立保育園。ここではそのような先生は雇われておらず（別の自治体では私立でもいるかもしれませんが、この町にはいませんでした）それが保育士さんたちを徐々にイラつかせることになるのでした。
徐々に担任の顔が怖くなる
多動の長男を保育園に預かってもらい、私は長男が生まれてこのかた初めて自分ひとりだけの時間を持つことが出来ました。大袈裟じゃなく本当に初めてです。本当にホッとしました。性別が違う二人目の出産準備のアレコレとか、これで何とか落ち着いてできる！しかし、それは長男の問題の解決ではなく、保育園に問題をスライドしただけだったのです。
毎日保育園に迎えに行くたびに、だんだん担任の顔が険しくなっていきました。日に日に何かとげとげしくなっていくのがニブイ私にも伝わってきました。
私は時間を守るのがニガテなタイプのADHDで、けっこうギリギリに保育園に迎えに行っていたのですが、ある日厳しい口調でこう言われました。
「なるべく早く迎えに来てください！立ち歩いて他の子に迷惑なんです！」
また、こうも言われました。
「あなたは働かないで家にいらっしゃるんですから！（こっちに迷惑かけないで！）」
保育園のお迎え時間は16時～16時30分の間ですが、その間ほかのママさんたちが迎えにくるとき扉が開くたびに脱走していたみたいなんです。すいませんと謝ってもう少し早く迎えに行くことにしました。それにしても、出産のための一時入所なのにこんなに言われるとは…
自閉症長男の保育園での扱い
その保育園では、お迎えのとき車を停めるとかすかに園の様子が見える場所がありました。先生たちはそれに気づいていないと思います。そこで偶然見てしまった長男の保育園生活…
私の前では笑顔の若い先生が、鬼のような顔をして長男を呼んでいます。しかし、親の呼びかけにすら応えない長男がそれに応えるわけがありません。ひたすら笑顔で走り回っています。若い先生は両手に他のもっと小さな園児の手をつないでおり、走って追いかけることはできません。あの先生、あんな般若みたいな顔するんだ。これは本当に迷惑かけているみたい。でも、このときは自分も自閉症児へのコントロールの仕方など知らず、誰にもどうすることもできなかったのです。
他の子たちと明らかに違う
私が愕然としたのは、いつものようにお迎えに行ったときのこと。何かに夢中になり、まったく帰ろうとしない長男に他の子が言ったひとことです。
「帰ってあげなよ。ママがかわいそうだよ。」
え？もう自分のやりたいことを抑えてママのために帰ってあげるということを理解してるの？しかも、まったく他人の困っている私に同情して助け舟を出してくれるの？同じクラスのたった2歳の子が？これは本当にショックでした。本当にお迎えにいくたびに、わずかな時間なのに我が子と定形児との違いが明確になっていきました。そして、とうとう事件が起きてしまいます。（つづく）
コメント