なんだかタイトルが「の」ばっかりになってしまいましたが、前回書ききれなかった分を書こうと思います。
なぜこの保育園を選んだのか
アヤちゃんを産むときに二歳のタカくんを預けた私立のお勉強系スパルタ保育園ではさんざんな目にあった私たち。先生たちは常に目が吊り上がっていて、お迎えに行くたびにお小言をちょうだいし、いかに私たちが一般社会にとって迷惑な存在か思い知らされ、毎日のように落ち込んで心を折られていました。
そのため、この公立保育園に入るときも正直びくびくしていました。園庭開放と言って、未就園児が保育園に遊びに来てもいいというイベントを毎月やっていましたが、その時間が通っていた療育センターとちょうど重なるために、どういう雰囲気か知ることができなかったのです。
田舎ゆえ選択肢は少なく、私の家から通える保育園はそことあのお勉強系私立スパルタ保育園しかありません。しかし私立のほうはすごい人気で途中入園なんてできませんし、発達支援も加配もありません。というわけで、必然的に今通っている公立保育園になったというわけです。
保育園に着いたら
アヤちゃんを背負って泣き叫ぶタカくんをひきずって保育園に着きます。そこからもう試練です。まず、自分で朝のお仕度をしなければなりませんが、タカくんは当然できません。発達支援センターでも私がつきっきりで、靴をしまう、上着を脱ぐ、などの朝のお仕度を絵カードで教えていましたが最後まで覚えられずにいました。
保育園のお仕度といっても簡単なものです。上靴に履き替え、歯ブラシやコップを所定の場所に置き、帽子とタオルと水筒をフックにかけ、出席ノートのカレンダーにシールを貼り、通園カバンをロッカーにしまうだけです。
年中さんともなれば、当然みんなスイスイやっています。もちろん年中から転園してきた子もスイスイやっています。
先生に任せて「じゃあ!あとはヨロシク」ってこともできるのですが、頼りない新規採用の男性の先生(身だしなみもいまいち)には任せられないし、慣れない仕事でいっぱいいっぱいだろうし、朝は保護者が次々と来て色々忙しいだろうと、私は発達支援センターと同じようにタカくんの朝のお仕度に付き合うことにしました。
朝のお仕度を可視化する
朝のお仕度を覚えられないタカくんのために、企業でも取り入れられているいわゆる「見える化」を実行することにしました。
- まず、朝のお仕度でやることをリスト化して書き出します。もし覚えにくい場合は細分化します(「靴を履き替える」が難しい場合は「上靴をはく」「下靴をしまう」に分けるなど)
- そして、100均で売っている白無地の小さなホワイトボード、裏と表が別の色になっているマグネットシートを用意します。
- マグネットシートを適当な大きさに均等に切って角を落とし、リスト化した朝のお仕度をできればイラストで記入する。
- ホワイトボードにやる順番に上から貼り付ける。
これを保育園に持っていき、朝の登園時のお仕度のときこれを持ってタカくんについて回るのです。視覚優位のため、イラストにしてあげるとわかりやすいですし覚えやすいかなと思ったのです。また、マグネットなので位置が変えられ「今日はこのお仕度を一番にやりたい!」となったら自由に順番が変えられるので便利です。ただし、異食がある方、小さな子がいる方は十分に注意してください。作るのが面倒な方は似たような商品もありますけど(おしたくボードでググってください)、ちょっと高いので私は作ってみました(笑)
こうして、できた項目をひっくり返していって、すべてが赤になれば遊べるというわけです。人間おかしなもので、こうするとなぜか一つだけ白のままだったりすると気になってしまいますからね。つまむことで作業の練習にもなります(タカくんはつまめないので私が代理で裏返していました)
ちなみに発達支援センターでは、マグネットシートではなくマジックテープで作ってありました。ペリペリ剥がすのも楽しいし、マジックテープとボードの間にすき間があいているので手先の不器用なことが多い発達障害児にはこちらのほうが使いやすいかもしれません。根気がある方はマジックテープを駆使して作るのも良いでしょう。とにかくポイントは、やってない作業とやり終えた作業の視覚化です。
お友達はワイワイしているし、先生はなぜか流行のポップスをスマホから爆音で流しているし、いろんなおもちゃがあるしで朝のお仕度は毎日なかなか進みません。私は、毎朝ほんのこれだけのお仕度のために30分以上付き合っていました。
前述の私立スパルタ保育園では、お仕度をいっしょにやろうとすると先生が不機嫌そうに
そういうことをするなら、もっと早く登園していただかないと!こちらが困りますので!!
とブチ切れられてしまったので出来ませんでしたが、ここはのんきな田舎の公立保育園。お母さんが気が済むまで手伝っても別にいいですよ~って雰囲気だったので、タカくんのペースに合わせて毎日お仕度を30分かけてのんびりやっていました。
保育士の先生たちものんびりしていて、園児の数に対して保育士さんは非正規の方も含めて1/4ほども在籍していて、担任の先生でも有休もけっこう取っています。
私立幼稚園を断られたときはこの世の終わりだと思いました。ちゃんと産んであげられなくてごめんなさいとタカくんを抱きしめて、西日の当たる部屋で号泣しました。
でももしかして、これで良かったのかもしれない。できもしない勉強だのスポーツだのなんだので何もできずに放っておかれて劣等感の塊になるよりは、こののんびりした環境のほうがタカくんに合っているのかもしれない。
三歳になっても二語文がしゃべれなかったDQ58のタカくん、保育園のお仕度を完全に覚えるまでには結局その後卒園する直前くらいまでかかりました。「おしたくをする」ということの意味自体がわからなかったのかもしれませんね。
人間万事塞翁が馬とは昔の人はよく言ったもので、あのとき最悪だと思ったことが、今になって実はそれでよかったのだと。ある日もうダメだと絶望しても、いつかそのことにも意味があったのだ思えると信じて、これからもタカくんと生きていきたいです。
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