療育に通ううちに、数分なら座っていることができたり、呼ばれて返事ができたりと少しずつ成長してきたわが長男(当時三歳半)。しかし「名前」というものがいまいち理解できていませんでした。
療育のひとつの限界
親子通園の療育に通って、親は大変ですがとてもいいことばかりでした。しかしながら、少数のデメリットもあります。それは何かというと、自分がその療育の中でわりとできるほうの子だった場合は、周りのいい影響で成長するということができないことです。
長男は発達指数58とかなり低いほうですが、療育ではそれでもわりと上のほうに分類されます。言葉がまったく通じない子や、全然しゃべらない子、他害でしかコミュニケーションを取れない子、場所見知りで何か月も教室に入れない子など、千差万別ですが、共通しているのはコミュニケーションが苦手な子ばかりということです。
そのため、同い年の子どもたちとコミュニケーションを取り合って高めあっていくということはなかなか難しいということが言えるでしょう。そのため、親子で通園して、まずは親が最初のコミュニケーションの相手として手取り足取り教えていかなくてはいけません。
自分の名前が覚えられない原因
長男が自分の名前を覚えられない原因は何なのか?それはひとつには「誰も名前を呼んでくれない」ということがあったかもしれません。もちろん私は毎日呼んでいましたし、療育でも毎日の朝の会で、名前を呼ばれて返事をしたら、前に出て行って自分の写真を受け取り、それをホワイトボードに貼ったらみんなに拍手してもらうというルーティーンがありました。
しかし、就園年齢になってもあえて療育にいるお友達たち(うちの子も含む)はそれだけ重度ですから他人に関心のない子が多く、もちろん「〇〇くん、いっしょに遊ぼう!」なんて絶対ありません。まあそれができれば療育には来ていないんですけど…長男も、お友達に興味がなく、自由時間はひたすらボールを入れるおもちゃ等で一人で遊んでいました。
変化は突然やってくる
うちの街の療育では、来年度に入る予定の幼稚園や保育園に月一回体験入園することができます。もちろん親が同伴ですが。私もありがたくこの制度を使わせていただくことにしました。親と一緒に行って「ここは怖くない。楽しいことがいっぱいあって時間が経ったら帰れる場所」と慣れさせることで、初めてのことや場所が苦手な発達障害児も来年度にスムーズに入園できるというわけです。保育士さんや園長先生に「この子はこんな特徴があります」ということを事前に直で説明できますし、園の雰囲気もわかります。これは本当にありがたい制度です。
当然、年少さんたちはある日突然やってきた私たち親子に興味津々です。特に私は一歳ちょっとの赤ちゃんを背負っていますからみんな集まってきます。ここで、療育で覚えた褒めて伸ばす大作戦(ABA行動療法の応用)を実行するとみんな面白いように頑張って長男を助けてくれました。親も給食もいっしょに食べますし、まだ立てもしない一歳になったばかりの妹を背負っての体験入園は、月一回と言えども冷房も暖房もないしずっとつきっきりだし本当に大変でしたが…
そして、保育園のみんなが「タカちゃん!」「タカちゃん!」とかわるがわる呼んでくれたせいなのか、初めて体験入園に行ったその日に、なんと自分がタカちゃんだということを覚えたのです!
集団の力による奇跡でしょうか。本当にうれしかったです。とにかく、療育も大事ですが、時には健常児の中でもまれて引っ張り上げてもらうことも大事なことだと思いました。そのときは、必ず親もついてトラブルにならないように気を配ることも大切です。
コメント
名前が理解できたエピソード感動しました!
とても刺激になったんでしょうね。お母さんの負担は大きいですが、目に見えて効果があると嬉しいですね
コメントありがとうございます!
こども同士という集団の力には、親や先生にはない
不思議な力があるみたいですね(^^)