父の勧めで、父の知り合いの発達障害専門医にセカンドオピニオンを求めることになった私たち夫婦。このときすでに長男は三歳になろうとしていましたが、未だに発語は一歳代前半くらいの喃語や略語(とり→り等)しかなく、指差しもできませんでした。
有名な病院へ
その病院は、街のはずれの山の中にありました。国立の非常に立派な病院で、発達障害についても非常に有名な病院です。ここで診断されたのなら、夫も納得してくれそうです。
セカンドオピニオンを嫌がる医師もいると聞くので、主治医には内緒です。それに、セカンドオピニオンを求められる側も、特に小児発達障害専門医は数が少なそうですのであまりいい気はしないかもしれません。
初診なので、お決まりの問診を書きます。
- 呼んだときに返事をしますか → いいえ
- 意味のある言葉をしゃべりますか → いいえ
- 指差しをしますか → いいえ
発達障害のある子どもを持つ親なら、これにいいえをつけたらどうなるかはわかっていますよね。あらかじめ、発達指数の検査結果の紙も渡しておきました。
先生の判断は
セカンドオピニオンを頼んだ先生はいかにもベテランで説得力がある先生でした。先生の意見はというと…
自閉症の診断というのは非常に難しいんです。発達障害先進国のアメリカでは、何日もかけて患者を観察してから診断を行うんです。
あれ?なんか結論を言うまでにだいぶ遠回りするよね?きっと、私たちが父の知り合いの医師の紹介だから気を遣っているのかな?
だから、断片的な行動を見て、ここですぐ自閉症かどうかという判断はなかなか難しいことです。
なるほどね、ここですぐには結論は出ないですよね。
ただし、この発達指数をみる限りは知的障害ですね。
うう、ずっと検索をさけていたワードをあっさり言われてしまいました。検査者によって若干の上下はあるでしょうけど、数字は嘘をつかない。ぐうの音も出ません。私の前であれだけ威勢の良かった夫も黙って聞いていました。
結局、何時間もかけてやってきたけど、疲れただけで得られた答えは同じでした。私たちは無口なまま帰途につきました。
当の長男本人は、県をまたいではるばるやってきたので疲れたのか、初めての場所で暴れて疲れたのか、無垢な顔ですやすや寝てしまっていました。私たちの複雑な思いにも気づかぬままに…
これからどうなるのだろう。私たちはどこに向かうのだろう。そんな漠然とした不安につつまれながら、うす暗い曇りの空の下を家路につきました。
その後、夫は相変わらず長男の障害は認めないものの、療育に行くことに反対はしなくなりました。そろそろ季節が寒くなり始めるころのことでした。
発達障害のセカンドオピニオンまとめ
命にかかわる病気ではなく発達障害の場合、セカンドオピニオンはあまり必要ないかもしれません。なぜなら、発達障害は病気ではないので治ることはありませんし、診断名が多少変わったところで、本人と親が困っていることに変わりはありませんから。それよりも、どうすれば本人がより良い人生を送ることができるのか、そのことに集中したほうがいいと思います。
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