発達障害児のママ友事情について考えてみました。
ママ友ができない要素、母の問題
たいていの人は、子どもが少し成長してきたらいわゆるママ友というものが自然にできるものだと思います。公園だとか児童館などでいつも会う人で子どもも仲良しになって、いつかしゃべるようになり…というのが定石でしょう。
しかし、これは私個人の問題なのですが、私の場合もともと相貌失認という人の顔がわからない特性を持っていますので、さっきしゃべったママさんとその後スーパーでバッタリ会っても絶対わかりません。もし日頃挨拶している近所の人が公園に来ていたとしてもわかりません。このせいで何度嫌われたりさけられたりのつらい思いをしてきたか。そのため近所の公園は怖くて行けず、あえて遠い公園や児童館などに行っていました。たまに近くの児童館にも行ったこともあるのですが、あるママさんに「半年前にここに来られてましたよね?」と笑顔で話しかけられたのが怖くて二度と行かなくなりました。たぶん近所の人だったんでしょうけど、誰だかわかりませんでした。(ただし、非常に時間をかけて見分けがつくようになる場合もありますが)
悩みが違いすぎる
定型児の親の悩みと言えば、ちょっと引っ込み思案で、とか、小食で、なんてものだと思うんです。対して発達障害児の親の悩みと言えば、二歳、三歳になってもしゃべらない、いっときでもじっとしていられない、返事をしない、表情がないなど、普通の親が聞いたら心の中でかなり引きそうな内容です。そうするとやっぱり本当のことは言えず、天気の話くらいしかすることがなくなってしまうのです。
子どもの問題
私の長男の場合、とにかく多動でした。目を離したらすぐに猛スピードで公園から脱走して道路に飛び出してしまうので、一秒でも目が離せません。子どもといえど、その走る速度は侮れませんし、私はすでに臨月近い妊婦だったので、あまり急激に走るのもよくありません。そして、広い公園を脱走しないように常に監視して追いかけまわしているので、物理的に誰かとしゃべる時間がない!もともとコミュ障なのに、しゃべるチャンスすらないんです。
子どもの問題2
子どもの二つ目の問題は、とにかく長男は誰ともコミュニケーションを取らない(取れない)。ひたすら公園をかけずりまわり、脱走を試み、高いところが好きなので危険なところにひたすらのぼって奇声を上げるだけです。ごくまれに、他の子と遊ぶかと思いきや頭から砂をぶっかけて笑っていたり。長男はたぶん相手が人間だとは理解できなかったのでしょうね。呼んでもまったく振り向かないですし、きっと子育てしたことある人なら「あ、この子…」と察するでしょう。基本的に子ども同士が仲良くなってその親どうしもしゃべるようになるという流れなので、どうしても私は浮いてしまいます。
来年どこ行くの問題
個人的にこれがいちばんつらかったのが、同じ年ごろの子を持つママさんどうしで交わされる、挨拶代わりの何気ない会話
「来年、どこの幼稚園に行くんですか?」
これを聞かれるたびに心臓がギュッとなるのです。だってうちの子は知的障害で幼稚園なんて夢のまた夢なんですから。これを聞かれるたびに「自閉症だから幼稚園は行けなくて、障害児のための療育施設に行くんです」とは言えず
「い、いやー実は幼稚園じゃなくて、子どもの発達を促す施設でモゴモゴ…」
などという会話をしてしまい、変な顔で見られてその後距離を置かれる、という感じでしたね。相手も自分も悪くないんですけど、障害児を子どもに持っているとありきたりの普通の会話もできないのです。障害をカミングアウトするということはそんな簡単にできることではありませんからね。近所の人たちにも同じ流れで「同じ幼稚園に行きましょうよ!」なんて誘われましたが、上記の会話で無視されるようになってしまいました。表面はきれいごとを言っても、本音は誰だって障害児やその親となんて付き合いたくないですよね。変に関わって我が子をいわゆる「お世話係」なんてならせたくないですもんね。
結局、こうやってママ友ができずに時が流れていったのです。
ママ友ができない悩みの解消法とは
正直、もともと引っ込み思案でボソボソしゃべる私には普通の友達も少ないのに、明らかに普通と違う長男を抱えてママ友作りなんてハードルが高すぎました。上の子が定型児という場合はまだ上の子のママさんたちは仲良くしてくれるでしょうが、最初の子が発達障害児だった場合はかなりの詰みです。昔からの友達やよほどのコミュ強ママさん以外はなんとなーく遠巻きにされるでしょう。
どうしても悩みを共有するママさんがほしい!という場合、それはズバリ母子同伴通園型の療育施設に通うことです。そこには同じ悩みを持ったママさんが多数通園しており、一日何時間もいっしょに過ごすため、そのうち気の合う人も出てくるでしょう。私もそうでした。ただし、年度途中からはいるとすでに輪が出来上がっていて難しいのでそのときは同じようにポツンとしている人に声をかけるのもいいかもしれません。どのみち定型児のママさんたちとは会話が噛み合いませんので、同じ境遇の人たちのいる場所に行くのが近道です。