前回、長男が昼間の療育で出されたクイズの答えを覚えているという話をしました。そのときはちょっと驚きましたが、偶然かなとも思っていました。
記憶の仕方の特徴
自閉症の人は、記憶力に普通の人とは違う特徴があります。それは、見たものを長期間そのまま記憶することができる一方で、さっきのことなど短期的記憶に弱いという特性です。
たとえば、「この本は1か月前は図書館のここにあった」というようなことは覚えているのに「じゃがいも、トマト、たまねぎを買ってきて！」と言ったらどれかひとつ忘れてしまうというようなことです。
学校生活で、黒板に書いた字をノートに写すとき、先生のしゃべっていることを理解してそれをノートに取るときなどに、この特性のせいでかなり苦労することになりますので、知的に問題がなくても注意が必要です。
記憶力の訓練をしてみる
物は試しということで、私は長男に、毎日昼間の療育で出されたクイズを夜のお風呂でもう一度思い出させる訓練をしてみることにしました。まあ脳トレみたいなものですね。
すると、長男は毎日ほぼ正解しました。しゃべれないけど、外からは見えないけれど、思った以上に療育のことを覚えているのかな？
車に興味を持ち始める
そのころ、プレゼントでもらったミニカーがとても好きだったため、夫がコンビニで、現在販売されている日本車、外国車のすべてが載ったカタログ雑誌を買ってきました。それを何の気なしに、「これは〇〇だよ」「これは△△だよ」と暇つぶしに教えていました。
そしてまたあるとき、何の気なしに「この車なあに？」と写真に指をさして聞いてみたら…
「いぷれっしゃ（インプレッサ）！」
え？もしかして、一車種につき一回くらいしか教えてないのに覚えてるの？？
じゃあこれは？「べおん（ヴェイロン）」これは？「らかん（ウラカン）」
なんと400車種くらいを一気に覚えてしまっていました。これが自閉症の視覚優位というものでしょうか。とにかく、自分の名前も言えないのに日本で売っている車のほとんどを瞬時に覚えてしまいました。
それからというもの、車のカタログを読み上げさせられる日々が続きましたが、ただ暴れたりパニックを起こしたりする以外は感情のないロボットみたいだった長男が何かに興味を持ったりとてもうれしそうにしているのが私も嬉しくて、誕生日やなにかのごほうびにはミニカーを買ってあげたりしました。なんと、シルエットでも車種がわかるらしく、私には同じにしか見えないミニバンのシルエットでも正確に答えられました。
ついには、私は全然車に興味ないのに、遠路はるばるモーターショーまで連れていきました。目をキラキラ輝かせる長男。雑誌で知っていた車の実物が目の前にいっぱいあることでとても興奮していました。ついでに私も初めて見るいろんな車がかっこよくて興奮してしまいました（笑）
長男は年よりも小柄でそのときまだ三歳だったのですが、あるブースに行って車を見たとき「えきしーじ（車名）」と言ったために、最初は小さなお子さんかわいいですねーみたいだったそこの係りの方がビックリして二度見して車の名前を確かめていました（笑）
おかげで、特別にチェーンの中に展示してある高級車の中まで行って写真を撮らせてもらうことができました。自閉症のおかげ？でちょっぴり得したお話でした。
コメント