発達障害児の自立を促すための療育センターも地域によってさまざまです。たいていは、単独通園か親子通園か選ぶことができると思います。私の場合は保健師に親の資格なしと断罪されていたので、単独通園は紹介してもらえませんでしたが…
単独通園の場合
メリット
なんといっても、親の肉体的負担が軽いこと!これに尽きます。送迎やお弁当などの負担はあるでしょうが、特にうちのように、下の子がまだ小さくて、本人は夜も寝ずに一日中家の中でかんしゃくを起こしているような育てにくい子だった場合は、母親の心身の休まる暇がありません。それに、療育センターもタダではありませんので、子どもが登園している間にパート等で働くこともできます。
デメリット
療育センターでは日常でも非常にためになる対応を教えてくれます。しかし、送迎だけではそれらを親が身に着けることはできません。それに、正直中身はブラックボックス的なところもあると思います。私が通っていたセンターのスタッフさんは非常によくしてくれる方ばかりでしたが、彼らも人間ですし、親の目が届かないところで何が行われているかは知るよしもありません。
というのも、私の知り合いの方で、単独通園の施設のスタッフ(パートの保育士)をしている方がいました。私の子が療育センターに通っていると知らずにしゃべっていたのですが「そういう施設の子は歯磨きを嫌がる子が多いけど、面倒だから押さえつけて無理やり歯ブラシを突っ込んで磨いているわアハハ」って言っていたのです。
正直これは一番いけない対応だと思います。彼らは感覚が過敏だったりするし、一度受けた嫌な思いは忘れることができません。なので、家でもますます歯磨きが嫌いになっていくでしょう。いきなり歯ブラシを突っ込むのではなく、スモールステップといって、まずはちょっとだけ歯ブラシのさきっちょを口に入れてみて、それができたら次の日は半分くらい入れてみるとかから始めないといけないと思いますね。そのスタッフの方はお子さんが健常児だったので、その辺はなかなか理解できなかったのかもしれませんね。
親子通園の場合
メリット
まあ単独通園のデメリットと対になるのですが、何よりも子どもの様子を間近で見られること。一日一日少しずつでも着実に成長していく姿を見ることができます。かんしゃくを起こしたときにスタッフさんがどのようになだめるのか、目の前のことに集中させるためにどうするのか、他の子を見るだけでも非常に勉強になります。
また、昼間やった課題を夜にもう一度復習したり、同じ遊びを家でやってみることもできます(これがなければ、長男が視覚的な記憶に優れていると気が付くのはだいぶ遅くなったでしょう)。親の目がありますので、スタッフさんの対応を心配することもありません。
また、人見知りでコミュ障の私でもしゃべってくれるママさんが何人かできました。発達支援センターに来ているママさんはみな同じ悩みを抱えているし、その悩みは健常児のママさんにはわかってもらえないので、どんなにしゃべっても話題は尽きません。年度の途中から参加するとすでに派閥ができていて入りにくい場合もありますが、スタッフさんたちが親身に話を聞いてくれました。私などは、夫に理解がなくワンオペ育児で大人の誰ともしゃべる相手がいないので、スタッフさんとしゃべるのはかなりいい気分転換になりました。
あと、私が良かったなと思うことは、ときどき街で見かける発達障害の人が何に苦しんでいるのかを知れたことでしょうか。同じセンターには、嫌いな色を見てパニックになってしまう子もいました。仲良くなりたいけどやり方がわからなくて相手を段差から突き落としてしまう子もいました。普通の子なら大好きな、紙芝居のボランティアが来てくださっているのが「いつもと違う」恐怖で殴りかかってしまう子もいました。いけないことですが、他害などをするのも彼らなりの「理由」があるのだなと理解できました。
デメリット
やはり大きいのは、大いに時間と体力がとられることです。若い人なら何とかなるかもしれませんが、高齢出産だった私には月~木まで一日べったり付き添うというのは本当にきつかったです。しかも、生後半年の赤ちゃんを連れての通園でした。たぶんその一年間で寿命が何年か縮んだと思います。
あと、人付き合いが苦手なので、自由時間にママさんとしゃべらないといけないのもけっこう神経をつかいました。わりと個性的なキャラのママさんも多くて、突然激高したり、派閥以外の人とはしゃべらないと決めているのか、仲のいい人以外は挨拶もしないとか、真剣な場面なのにずーっとおしゃべりしてる人や、自分の子が他の子を危ない目にあわせたり、高い場所に上ってしまって落ちそうになっているのに知らんぷりというような人もいました。
朝から14時くらいまでつきっきりなので、就職したい人、育休から復帰したい人も親子通園では苦しいものがあります。かわりに通園してくれる元気なおばあちゃんがいてくださるといいのですが、孫フィルターがかかっていて正確な姿がわからないこともあります。ママさんがお仕事を持っていて普段はおばあちゃんが付き添いで来ている人で、たまに来た時にそのママさんが「小学校では普通級に入れようと思っている」と言ったときはびっくりしました。その子は朝の会の五分ですら座っていることができず、いつも床に寝そべっていたからです。おそらくおばあちゃんは悪いことはママさんには伝えてないのでしょう。
結論
私個人の意見では、選べるのなら親子通園のほうが絶対いいと思います。親もいっしょに成長できますし、子どものわずかな成長に気づけるのもやはり親だと思うからです。
雨の日も雪の日も欠かさず親子通園で療育に通い続けた1年4ヵ月は、子どもに贈った人生最大のギフトだと思っています。
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